◆正午山房通信


「正午山房」は俳人原石鼎の終の栖で、鹿火屋代々の主宰が住みなしたところ。

原裕が午年の正午の生まれであったことから名づけられました。四季と向き合う俳句のひとこまをお届けします。

春半ばを過ぎても寒い日が多く、いつになったら春めいてくるのかと思っているうちに、桜が満開となり、散ってしまいました。

わが家の庭先にもかつて桜が植えられたことがありました。

地元の老女が、なかなか花見に出掛けられない石鼎のことを思い遣って植えてくれたものですが、

深吉野に咲き誇る桜とは違ってちらちらと花をつけるだけの桜は、石鼎夫妻の眼には淋しく映ったようです。

庭の外へ外へと植え替えられているうちに絶えてしまいました。

この桜は、小米桜と伝えられています。小米桜というと、雪柳や蜆花を指すようですが、いずれとも違う桜の一種を言っていたのではないかという気がします。

この春、わが家の庭先に見慣れない花が咲いているのに気づきました。

実は、この木はかなり前からあったのですが、一向に花をつけないので何の木かわかりませんでした。

ただ、幹や枝、そして葉が桜に似ているので、桜の一種ではないかと思っていました。

それが今年、初めて花をつけました。

多分、丁字桜だと思います。
こんな曖昧な言い方になるのは、この木が実生だからです。

庭先には思わぬところに実生の木が生えますが、この木も鳥が気まぐれに運んできたものだからです。

花が散ると若葉が一斉に芽吹いてきました。

夏が近づくと、木々は瑞々しい新樹に姿を変えます。

桜の木も花から葉桜へと姿を変え、花の明るさとは対照的な影が生まれました。

まぶしい陽光の季節はそれだけ影も濃くなります。ふと、人生を包む光と影が思われる時でもあります

   暗きひとほど葉桜のみちをゆく   裕







◆艸たろ館展示のご案内

艸たろ館は、大正13年に建てられた道山家の土蔵を改築したもので、
須賀川の俳諧の系譜をたどることを目的とし、
主に俳句関係の軸装、色紙、短冊をテーマごとに展示している。
道山家は、子規の「はて知らずの記」にも登場する須賀川の名望家である。

桔槹創刊百年を記念して母体であった俳誌「鹿火屋」創刊の主宰、原石鼎、
その妻であり二代目主宰であったコウ子、
道山草太郎友人で「桔槹」「鹿火屋」同人でもあった白河の画家、
大竹仰峰の三人展を令和4年4月20日~6月30日まで開催しております。
是非ご覧下さい。おいでの際はお電話をいただければ幸いです。
道山はるか(090-2157-7592)





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