◆正午山房通信


「正午山房」は俳人原石鼎の終の栖で、鹿火屋代々の主宰が住みなしたところ。
原裕が午年の正午の生まれであったことから名づけられました。
四季と向き合う俳句のひとこまをお届けします。

新しい一年が始まりました。
今年は、元日早々能登地方を襲った大震災には驚きました。
鹿火屋には石川県からもご投句くださっている方がおられるので案じておりましたが、
先日、お電話でご無事だったことを知り、安堵しました。
心よりお見舞い申し上げます。

いつもは年末になると水仙の花が咲きますが、
今年はどうしたものかなかなか花を見ることができませんでした。
一月も末となるころ、ようやく小さな花が咲きました。
水仙に変わり、庭のそこかしこに万両が赤い実をつけてくれました。
実が上につく千両の方がお正月には好まれるようですが、
わが家では専ら万両の赤い実が灯ります。

昨年の秋、『原裕の百句』(ふらんす堂)から上梓しました。
原裕は、十代の頃から作句に親しみ、生涯に亘って句を読み続けました。
ですから、この百句には人生の歩みがそのまま描かれているといっても過言ではありません。
俳句は年とともに成長するもので、二十代の作と五十代の作とでは物の見方や感じ方に差が出て来ます。
それが人間的な成長の証と教えられてきました。
俳句は作者を離れて詠むことはできないのです。

俳句はとかく技術論がつきまといますが、
俳句は技術ばかりでなくもっと人間的な部分に眼を向けるべきではないかと思うことがあります。
俳句は作句が中心となりますが、俳句の楽しみは作句(サック)ばかりではありません。
読む楽しみもまたあるのです。
俳句は読みつつ詠むことで自然と作句力は上がります。
作句と鑑賞は車の両輪であり、鑑賞力が作句力を高めることにもなります。

とはいえ、作句はどうも・・という方もおられるかと思います。
そういう方には読句(ドック)をお勧めします。
今の時代、作句派と読句派の両方があってもいいのではないかという気がしています。
                                  (24・1・28)






◆艸たろ館展示のご案内

艸たろ館は、大正13年に建てられた道山家の土蔵を改築したもので、
須賀川の俳諧の系譜をたどることを目的とし、
主に俳句関係の軸装、色紙、短冊をテーマごとに展示している。
道山家は、子規の「はて知らずの記」にも登場する須賀川の名望家である。

桔槹創刊百年を記念して母体であった俳誌「鹿火屋」創刊の主宰、原石鼎、
その妻であり二代目主宰であったコウ子、
道山草太郎友人で「桔槹」「鹿火屋」同人でもあった白河の画家、
大竹仰峰の三人展を令和4年4月20日~6月30日まで開催しております。
是非ご覧下さい。おいでの際はお電話をいただければ幸いです。
道山はるか(090-2157-7592)





Copyright (C) 2015 KABIYA Haiku-kessya. All Rights Reserved.